今回は、FPの学科試験で頻出の「債券の利回り計算」を取り上げる。
最終利回りなど、ほぼ毎回出願されるので、計算問題に慣れて得点源としたい。
利回り(年利回り)とは、投資家の投資金額に対する1年間の収益の割合のことである。
利回り計算問題について
試験では、購入価格、利率、残存期間などは与えられるが、償還価格は与えられない。
償還価格は100円と決まっている。
利付債券の利回り計算
応募者利回り
新発債を購入し、償還まで所有する場合の利回りである。
応募者利回り(%) $=\frac{利率+\frac{償還価格-発行価格}{償還期限}}{発行価格} ×100$
(例題)表面利率1.5%、発行価格99.50円、償還期限3年の債券を新規発行時に買い付けた場合の応募者利回りを求めよ。
$\frac{1.5円+\frac{100円-99.50円}{3年}}{99.50円} ×100≒1.675$%
最終利回り
既発債を購入し、償還期限まで所有する場合の利回りである。
最終利回り(%) $=\frac{利率+\frac{償還価格-購入価格}{残存期間}}{購入価格} ×100$
(例題)表面利率1.5%、購入価格99.70円、残存年数2年の債券の最終利回りを求めよ。
$\frac{1.5円+\frac{100円-99.70円}{2年}}{99.70円} ×100≒1.655$%
所有期間利回り
債券を償還期限まで所有せず、途中で時価で売却した場合の利回りである。
所有期間利回り(%)$ =\frac{利率+\frac{売却価格-購入価格}{所有期間}}{購入価格} ×100$
(例題)表面利率1.5%、買付価格98.30円、所有期間4年、売却価格101.20円の債券の所有期間利回りを求めよ。
$\frac{1.5円+\frac{101.20円-98.30円}{4年}}{98.30} ×100≒2.263$%
直接利回り
債券の購入価格に対して、1年間の利子の割合を示した利回りである。
直接利回り(%) $=\frac{利率}{購入価格} ×100$
(例題)表面利率1.5%、購入価格98.30円の債券の直接利回りを求めよ。。
$\frac{1.5円}{98.30円} ×100≒1.526$%
割引債の利回り計算
割引債の複利利回り
償還期限が1年超の割引債の場合は、複利利回りを計算する。
最終利回り(%)$=\left( \sqrt[残存期間] {\dfrac{額面}{購入価格}-1}\right) \times 100$
$購入価格×(1+割引債の複利利回り)^{残存年数}=$額面(100円)
(例題)
残存期間4年の割引債券を95円で購入した場合の最終利回りを求めよ。(小数点以下第3位四捨五入)
$\left( \sqrt[4年] {\dfrac{100}{95}-1}\right) \times 100 = 1.290..$
1.29%
電卓の使用方法
100 ÷ 95 = √ √ - 1 × 100 =
※4乗根は4乗すると√内の値になるので、電卓で√を2回押すこと。
(出題例)以下の表に記載されている割引債券の1年複利計算による単価(空欄①)を求めよ。
なお、税金や手数料等は考慮せず、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
(1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)改題)
購入単価をxとすると、
x$×(1+0.008)^{4}=$100円
x=$\frac{100}{(1.008)^{4}}$
x=96.86円
電卓の使用方法
100 ÷ 1.008 = = = = ←べき乗回だけイコールキーを押す
ことで求めることができる。(カシオ以外の電卓の場合)
(カシオの電卓の場合)
1.008 ÷ ÷ 100 = = = = ←べき乗回だけイコールキーを押す
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