本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。
本稿は、「マンション管理士試験」の出題範囲のうち、区分所有法の頻出論点をまとめたものである。
共用部分
共用部分の種類
法定共用部分と規約共用部分
法定共用部分
数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。(区分所有法4条1項)
規約共用部分
区分所有建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。(4条2項)
全体共用部分と一部共用部分
数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。(4条1項)
共用部分の共有関係
原則
共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。(11条1項)
例外(管理所有)
規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、管理所有の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。(同2項)
管理所有
規約により特定の者を共用部分の所有者(管理所有者)として、共用部分の一定の管理を行わせる。
共用部分の使用
各共有者は、共用部分をその用方に従って使用することができる。(13条)
共用部分の持分の割合
原則
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。(14条1項)
そして、床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。(同3項)
例外
共用部分の持分は規約で別段の定めをすることを妨げない。(同4項)
一部共用部分で床面積を有するものがある場合
一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。(同2項)
共用部分の持分の処分
共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。(15条1項)
ただし、共有者は、区分所有法に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。(同2項)(分離処分禁止の原則)
区分所有法における別段の定め(「分離処分禁止の原則」の例外)
- 管理所有
- 規約で共用部分の持分割合を変更する場合
一部共用部分の管理
一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は区分所有者全員の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。(16条)
原則・・一部共用部分を共用すべき区分所有者のみ
例外・・区分所有者全員(以下の場合)
- 区分所有者全員の利害に関係するもの
- 区分所有者全員の規約に定めがあるもの
共有部分の管理・変更
保存行為
保存行為は、各共有者がすることができる。(18条1項ただし書)
管理行為
共有部分の管理に関する行為のうち、保存行為と変更行為を除いた行為(狭義の管理行為)のこと。
なお、管理行為を行うには、原則として、集会の普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数の賛成)が必要である。(17条1項参照)
また、共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。(18条4項)
変更行為
軽微変更・・・集会の普通決議
重大変更(共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。))・・・集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議)
ただし、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
(17条)
なお、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。(17条2項)
共有部分の負担及び利益収取
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。(19条)
管理所有者の権限
管理所有とは
規約で共用部分の所有者(管理所有者)と定められた区分所有者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。(20条1項)
管理所有者となり得る者
- 管理者
- 区分所有者
管理所有者の権限
管理所有者は、共有部分の①保存行為、②狭義の管理行為、③軽微変更を、単独で(集会の決議なしで)行うことができる。
(参考)
らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト 2023年度(TAC出版)
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