Ⅲ 胃腸に作用する薬(2)
②腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)
(1) 腸の不調、薬が症状を抑える仕組み
止瀉薬と瀉下薬の違いは下のような違いがある。
「瀉」: お腹を下すという意味である。
止瀉薬→ お腹が下るのを止める→下痢止め
瀉下薬→下剤(便秘薬)
(2)代表的な配合成分等、 主な副作用
整腸成分
分類 | 配合成分 | 特徵 |
---|---|---|
整腸成分 | ビフィズス菌、 ラクトミン、 乳酸菌 | 腸内細菌のバランスを整える ※腸内細菌: 腸内に生息している細菌のこと |
トリメブチン | 消化管 (胃及び腸)の平滑筋に直接作用して、 消化管の運動を調整する ※横紋筋とは異なり、 横しま模様を持たない筋で、血管や内臓の動きを調節する筋肉 | |
【生薬】 ケツメイシ、 ゲンノショウコ | 煎薬として整腸、 腹部膨満感に用いる ※煎薬:生薬を煎じた飲み薬 |
止瀉成分
分類 | 配合成分 | 特徵 |
---|---|---|
収斂成分(腸粘膜のタンパク 質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめ る) | 次没食子酸ビスマス | ・腸内で発生した有毒物質を分解する ・1週間継続して使用しないこととされている ・「胃・十二指腸潰瘍の診断を受けた人」 は 「相談すること」 とされている |
タンニン酸アルブミン | アルブミンは、 牛乳に含まれる タンパク質から精製 →牛乳アレルギーがある人では使用を避ける | |
下痢止め成分 (食べすぎ・飲みすぎによる 下痢、寝冷えによる下痢の 症状に用いられる) | ロペラミド | 食あたりによる下痢については適用対象でない |
腸内殺菌成分 (細菌感染による下痢の症 タンニン酸ベルベリンのオウバクやオウレンの中に存在 状を鎮める) | タンニン酸ベルベリン | ベルベリン (殺菌作用) は、 生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質 |
吸着成分(腸管内の異常発酵等によ 炭酸カルシウによって生じた有害物質を吸着) | 炭酸カルシウム | 腸管内の異常発酵等によ 炭酸カルシウム って生じた有害物質を吸着させる |
生薬成分 | 木クレオソート | ・過剰な腸管の(蠕動)運動を正常化し、あわせて水分や電解質 の分泌も抑える止瀉作用がある ・歯に使用の場合、局所麻酔作用 もあるとされる |
瀉下成分
分類 | 配合成分 | 特徵 |
---|---|---|
小腸刺激性瀉下成分 | ヒマシ油 | 小腸でリパーゼの働きによって生じる 分解物が、小腸を刺激 |
大腸刺激性瀉下成分 | センナ、センノシド、ダイオウ | 大腸に生息する腸内細菌によって分解さ れ、分解生成物が大腸を刺激 |
ビサコジル | 大腸のうち特に結腸や直腸の粘膜を刺激 | |
ピコスルファート | 胃や小腸では分解されないが、大腸に生息する腸内細菌によって分解されて、大腸を刺激 | |
無機塩類 | 酸化マグネシウム、 硫酸マグネシウム | ・腸内容物の浸透圧を高めることで 糞便中の水分量を増し、 大腸を刺激 ・腎臓病の診断を受けた人では、高マグネシウム血症を生じるおそれあり |
膨潤性瀉下成分 | カルメロースナトリウム、 カルメロースカルシウム | 腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増やすとともに糞便を柔らかくする |
浸潤性下剤 | ジオクチルソジウムスルホサクシネート (DSS) | 腸内容物に水分が浸透しやすくする作用があり、 糞便中の水分量を増して柔らかくする |
乳幼児用便秘藥 | マルツエキス | ・主成分である麦芽糖が腸内細菌に よって分解 (発酵) して生じるガスによって便通を促す ・比較的作用が穏やか →主に乳幼児の便秘に用いられる変化 |
漢方処方製剤(腸の不調を改善)
漢方処方製剤 | カンゾウ含む | ダイオウ含む |
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桂枝加芍藥湯 | 〇 | ✖ |
大黄甘草湯 | 〇 | 〇 |
大黄牡丹皮湯 | ✖ | 〇 |
麻子仁丸 | ✖ | 〇 |
(3)相互作用、 受診勧奨
過敏性腸症候群の便通障害のように下痢と便秘が繰り返し現れるものもある
→症状が長引くような場合には、医師の診療を受ける
下痢に発熱を伴う場合は、 食中毒菌等による腸内感染症の可能性がある
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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