民法を学ぼう「無権代理行為の一般的効果③」

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司法・法務

無権代理と相続

無権代理が問題となる事例が多い相続についてみてみよう。

無権代理人が本人を単独で相続した場合

無権代理人による無権代理行為が行われた後、本人が追認も拒絶もしないうちに死亡し、本人の相続人が、無権代理人一人だった場合、無権代理人が自ら行った無権代理行為の追認を拒絶することができるかという点が問題となる。

この点、通説は、無権代理人の行為は信義則に反するとして、追認を拒絶できないとする。

無権代理人が本人を他の相続人と共同で相続した場合

通説、判例は、無権代理人は他の相続人と共に本人の地位を共同相続しており、追認するか拒絶するかを決める本人の地位を持っていることを前提とする。
その上で、この追認するか拒絶するか決める権利は分割することができないとし、共同相続人の全員一致で追認をするのでない限り、追認の効力が生じないとする。
すなわち、一人でも追認を拒絶したら拒絶で扱う。

もっとも、他の相続人の全員が追認の意思を示していた場合、無権代理人だけが追認を拒絶するのは、信義則に反するとして、追認を拒絶できないと解される。

本人が無権代理人を相続した場合

本人はその地位に基づいて、無権代理人の行為の追認を拒絶できるのは問題ないだろう。
信義則に反することもない。

そこで、無権代理人が民法117条に基づいて負う責任を本人が相続するかという点はどうか。

117条の責任のうち、損害賠償責任については、相続するということで問題はない。

それでは、履行責任はどうか。有力説では、履行責任は負わないものとする。
理由として、本人は、追認を拒絶して本来の履行を拒絶できるはずなのに、相続により履行を余儀なくされるのは、本人にとって酷であるからとする。

参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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