登記は、 不動産登記法の手順に適っていること(形式的要件)と、実体的な権利変動に合致していること(実質的要件)が必要である。
今回は、「実質的要件」を取り上げる。
実質的要件
登記は、実体的な権利変動に合致していることが必要である。
実質的要件が充足されていないにもかかわらず、登記がなされた場合はどうか。
この場合は、その登記は無効である。
実体法上の物権変動が生じていないのに登記がされても、その登記は無効と解される。
旧登記を流用することも、原則として許されない。
旧建物のための登記を、新建物のために流用することは認められない。
滅失建物の登記をその跡地に新築された建物の所有権保存登記に流用することは、許されない。
(最判昭和40.5.4民集第19巻4号797頁)
しかし、判例は、旧抵当権の登記を、その抵当権が消滅したにもかかわらず、新抵当権のための登記としてそのまま流用した事案において、新抵当権が設定される前に現れた第三者に対してはその登記は無効だが、設定後に現れた第三者との関係では有効とした。
(大判昭和11.1.14民集15巻89頁)
設定後に現れた第三者は、抵当権の登記がなされていることを確認でき、先順位の抵当権の存在を知ることができる。
(参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社
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