離婚によって、婚姻が解消されると、婚姻の効果は将来に向かってすべて消滅することになる。
なお、夫婦に未成年の子がいる場合、親権の帰属や子の監護・養育に影響を及ぼす。
親子関係における効果については、別の機会で説明することにして、今回は、婚姻の解消に伴う基本的な効果についてみていこう。
基本的な効果
夫婦としての権利義務の消滅
同居義務や力義務、貞操義務といった権利義務は、将来に向かって消滅する。
なお、離婚に伴う氏の変動等については、下記の記事をご参照ください。
姻族関係の終了
姻族関係は、離婚によって終了する。(民法728条1項)
なお、夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を届出により表示したときも姻族関係は終了する。(同条2項、戸籍法96条)
第96条
民法第728条第2項の規定によつて姻族関係を終了させる意思を表示しようとする者は、死亡した配偶者の氏名、本籍及び死亡の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
(戸籍法)
婚姻中の財産関係の清算
夫婦間の扶助義務・婚姻費用分担義務も将来に向かって消滅する。
離婚訴訟において裁判所が財産分与を命ずるにあたっては、当事者の一方が婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる。
(最判昭和53.11.14民集 第32巻8号1529頁)
裁判所は、当事者の一方が婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の額・方法を定めることができるとした。
なお、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても,これにより婚姻費用分担請求権は消滅しない(最決令和2.1.23 民集 第74巻1号1頁)
夫婦財産契約は、ほとんど利用されてないので、通常は、法定財産制を前提に夫婦の財産関係の清算が行われる。
財産の帰属に関しては、別産制が採用されているので、特別な場合以外には、特別の清算が必要になることはない。
ただし、その帰属状況に不平等が生じていることが多い。
この不平等を是正することを目的とするのが、財産分与制度である。
(参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社
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