法人が活動するためには、機関が必要となる。
なお、本稿では、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を「一般法人法」と称する。
一般社団法人の機関
一般社団法人は、社員のある法人であり、基本的な意思決定機関である社員総会は、一般法人法に規定する事項及び一般社団法人の組織、運営、管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議をすることができる。(原則)(一般法人法35条)
また、一般社団法人には、1人又は2人以上の理事を置かなければならない。(一般法人法60条1項)
そして、一般社団法人は、定款の定めによって、理事会、監事又は会計監査人を置くことができる。(同2項)
社員総会
社員総会は、一般社団法人に関する一切の事項について決議をすることができるが、(原則)(一般法人法35条)その権限は、理事会が設置されているかどうかで異なる。
理事会非設置一般社団法人
社員総会は、一般社団法人に関する一切の事項について決議をすることができる。(一般法人法35条)
理事会設置一般社団法人
社員総会は、一般法人法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。(同2項)
なお、社員総会といえども、社員に剰余金を分配する旨の決議をすることができない。(同3項)
→一般社団法人の非営利性に反する。
理事・理事会
理事は、一般社団法人の業務を執行する機関であるが、その在り方は、理事会が設置されているかどうかで異なる。
理事会非設置一般社団法人
理事は、定款に別段の定めがある場合を除き、一般社団法人の業務を執行する。(一般法人法76条1項)理事は、1人でも2人以上でもよい。
そして、理事が2人以上ある場合には、一般社団法人の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、理事の過半数をもって決定する。(同2項)
理事は、一般社団法人を代表する(同77条1項)が、他に代表理事その他一般社団法人を代表する者を定めた場合は、この限りでない。(同ただし書)
理事が2人以上ある場合には、理事は、各自、一般社団法人を代表する。(同77条2項)
理事会設置一般社団法人
理事は、3人以上でなければならない。(一般法人法65条3項)
そして、理事会は、すべての理事で組織する。(同90条1項)
理事会は、「業務執行の決定」、「理事の職務の執行の監督」、「代表理事の選定及び解職」を行う。(同2項)
理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。(同3項)
その代表理事が法人の業務を執行し、(同91条1項1号)法人を代表する。(同77条1項ただし書)
監事・会計監査人
監事は、理事の職務の執行を監査し,(一般法人法99条1項)会計監査権限を有する。(同124条1項)
理事会設置一般社団法人及び会計監査人設置一般社団法人は、監事を置かなければならない。(同61条)
会計監査人は、会計監査権限を有する。(同107条1項)
一般財団法人の機関
一般財団法人には、社員は存在しない。したがって社員総会も存在しない。
そして、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。(一般法人法170条1項)
評議員・評議員会
評議員は、3人以上でなければならない。(一般法人法173条3項)
そして、評議員会は、すべての評議員で組織する。(同178条1項)
評議員会は、一般法人法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。(同2項)
理事・理事会
理事会は、必置の機関となっている。
理事は、3人以上でなければならない。(一般法人法177条、65条3項)
そして、全員の理事によって理事会が構成され、(同170条1項、197条、90条1項)代表理事が選任される。理事及び理事会の権限は、理事会設置一般社団法人と同様である。
監事・会計監査人
監事は、必置の機関となっている。
監事及び会計監査人の権限は、一般社団法人における監事及び会計監査人の権限と同様である。
(参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他(著)(日本評論社)、新プリメール民法1 民法入門・総則〔第3版〕中田 邦博 他(著)(法律文化社)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)
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