民法を学ぼう!「 占有権(7)占有の成立(1)占有の成立要件」

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司法・法務

占有の成立要件

占有の訴えが認められるためには、占有が成立していることが必要である。
占有の成立要件は、①物を所持すること(物の所持)、②自己のためにする意思をもっていること (占有意思)の2点である(180条)。

(占有権の取得)
第180条 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。

物の所持

物を所持することとは、客観的にみて、物を事実上支配している状態のことである。物理的な支配は必要ない。外出中、自宅に置いてある物にも、所持は認められる。逆に物理的に支配していても占有と認められないことがある。AがBの物を盗み、Bから追いかけられている状態だと、客観的な支配はなく、Aの所持は認められないであろう。

占有意思

自己のためにする意思とは、物の所持によって事実上の利益を受けようとする意思である。これは、自分の所有物として占有する意思に限らない。他人の物を預かる場合でも、占有意思は認められる。

この意思は、本人の主観的態様によって判断されるわけではない。占有がどのような原因で行われたかによって、客観的に判断すべきとされる。たとえば、売買契約に基づいて占有を始めた者には、当然に占有意思が認められる。

ところで、意思無能力者には、事実上の利益を受けようとする意思が認められないようにも思われる。 しかし、判例は、意思無能力者に占有意思が認められるとする(最判昭和41・10・7民集20巻8号1615頁)。占有の成立に当たって、占有意思という要件は、事実上機能していないとも考えられる。そのため、この要件を不要とする見解 (客観説)も有力である。しかしながら、客観説によると、占有補助者の占有の訴えを否定する判例と矛盾するとの指摘がある。

代理占有の場合

A所有の建物をBが賃借し、居住している。このとき、Aは建物を現実に占有しているわけではないが、Bを通じて占有している。 このように占有は、代理人によって行うこともできる (181条)。
これを代理占有という(法律行為の代理とは異なるため、間接占有ともよばれる)。

(代理占有)
第181条 占有権は、代理人によって取得することができる。

他方、Bは建物を現実に占有している。

このように、占有者が物を直接所持することを自己占有 (直接占有)という。Aの代理占有が成立するためには、①占有代理人の所持、②本人が占有代理人に占有をさせる意思、③占有代理人が本人のために占有物を所持する意思が必要とされる (204条1項参照)。

(代理占有権の消滅事由)
第204条 代理人によって占有をする場合には、占有権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人が代理人に占有をさせる意思を放棄したこと。
二 代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと。
三 代理人が占有物の所持を失ったこと。
2 占有権は、代理権の消滅のみによっては、消滅しない。

他人が本人のために物を所持している場合であっても、代理占有とならないこともある。
たとえば、 A会社の従業員Bが、A会社の支店に1人で勤務していたとしよう。 判例によれば、A会社が支店を直接占有しており、Bに占有は認められない。すなわち、Bによる占有の訴えは認められない(最判昭和32・2・15民集11巻2号270頁)。 Bは占有機関または占有補助者とよばれる。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

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