占有の承継
占有は事実状態である。 したがって、占有はすべて原始取得するものであるとも考えられる。
しかし、 民法は、占有の承継取得を認めている。承継取得は、特定承継と包括承継がある。
ここでは包括承継の問題を考えていこう。 なお、包括承継には相続会社の合併などがあるが、実際に問題となるのは相続である。 判例は、占有が相続されることを認める (最判昭和44.10.30民集23巻10号1881 頁)。ところが、相続の場合に、常に相続人が物を所持しているといえるのか、 理論的に考えると疑問が生じる。
被相続人と相続人が建物に同居していた場合、 相続人に相続財産に属する建 物の所持は認められる。しかし、別居していた場合、とくに相続人が建物の鍵などを持っていなかったとき、 相続人に建物の所持が認められるのか。 また、特定承継の場合と異なり、相続人の意思が介在しないので、 相続人に占有意思があるといえるのか。
以上のような理論上の疑問はあるが、 実際上、占有が相続されることは必要であると考えられている。なぜなら、第三者が相続財産を盗んだり不法占有したりした場合、相続人の第三者に対する占有の訴えが認められないことになってしまうからである。 また、相続人が被相続人の占有を承継できず、一から取得時効の期間経過が必要であるとする実質的理由が存在しないからである。
なお、相続による占有の承継については、取得時効の成立要件との関係が問題となる。
(参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社


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