民法を読もう「民法の基礎2 物権 第3版」

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司法・法務

本ブログでは、多くの資格試験で出題されることが多い民法をテーマのひとつとして取り上げている。様々なアプローチがあるが、民法の基本書を読み込むことが基本であると考えている。

良書との出会いは、時にはその人の生き方をも変える力を秘めている。
たくさんの良書と出会えればそれだけ人生は豊かになるだろう。

今回ご紹介するのは、「民法の基礎2 物権 第3版 佐久間 毅 (同志社大学教授)/著 有斐閣 以下本書という」である。

民法の基礎2 物権 第3版

著者の佐久間毅先生は、現在、同志社大学大学院司法研究科教授であられる。(同志社大学法科大学院の紹介のページ

本書の特徴は以下の通りである。

具体的事例から法律論を通じてその展開の方法を示す好評の一冊。学習者の要求に応じて段階的に区分けしているので,どんな人であっても読むことができる。所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しに関する関連法令等,最新の法改正を織り込み全面改訂。

有斐閣の本書の紹介ページ

民法は、言うまでもなく法律である。その条文は誰でもすぐに参照できる。
ただし、初学者にとって、「案内書」を持たずに民法の世界に踏み込むのは、「地図」をもたずに山に分け入るようなものである。もちろん、山は誰でも入れるが、「地図」という指針があれば安全に行動できる。筆者は基本書の存在をこのように考えている。
資格試験対策では、民法は考え方を理解するほうが良い。民法の膨大な条文をすべて覚えておくなど通常では困難だからである。また、実務でも頻繁に民法の知識が必要になる。このような理由から、良質な民法の基本書でしっかり学んでおくことは後々のご自分のためにもなるのである。

本書は、同じ佐久間先生による「民法の基礎1 総則」に続く、物権法の基本書である。令和3年の民法改正に対応している。ただし、担保物権の詳説は含まれない。物権法についての概説から始まり、「物権の変動」、「所有権」、「用益物権(地上権、永小作権、地役権、入会権)」、「占有権」と続き、「物権的請求権」までが扱われる。

本書は、タイトルこそ「基礎」となってはいるが、実際は応用まで含まれるので、初学者には読みこなすのはたいへんかもしれない。そこで、著者も触れているように初学者は、「本文」のみを通読されるといいだろう。それだけでも読みこなすことができればかなりの実力がつくことだろう。
なお、本文(と発展学習)は、基本的に条文、判例及び学説の通説に基づき説明されている。

民法は総則のあと、債権法を学習してから物権法を学ぶという方法もある。物権法の理解には債権分野の知識が必要な箇所もある。例えば、売買契約では、その成立等については「債権法」に規定されているが、商品に対する権利(所有権)の移転に関しては「物権法」に規定されているのである。
このように民法の学習は、各分野の関連を意識することになるのだが、まずは、本書を読み通してみよう。どうしても理解できない箇所があれば、債権を学んだ後また戻ればいいのである。

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