管理業務主任者まとめノート(5)「区分所有法(復旧)」

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復旧 不動産

本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

本稿は、「管理業務主任者試験」の出題範囲のうち、区分所有法の頻出論点をまとめたものである。

復旧

小規模滅失の復旧

小規模滅失とは、建物の価格2分の1以下に相当する部分が滅失した場合のことである。

専有部分の復旧

各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分復旧することができる。(区分所有法61条1項本文)

共用部分の復旧

原則

各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。(61条1項本文)

そして、共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を共用部分の持分割合に応じて償還すべきことを請求することができる。(61条2項)

例外

共用部分については、復旧の工事に着手するに集会において、小規模滅失の復旧決議建替えの決議があったときは、復旧することはできない。(61条1項ただし書)

小規模滅失の復旧の決議

小規模滅失の場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議(普通決議)をすることができる。(61条3項)

規約による別段の定め

小規模滅失に関する上述の場合、規約別段の定めをすることを妨げない。(61条4項)

大規模滅失の復旧

大規模滅失とは、建物の価格2分の1を超える部分が滅失した場合のことである。

大規模滅失の復旧の決議

大規模滅失が生じた場合、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。(61条5項)

→この場合、各区分所有者が単独で共用部分の復旧をすることは認められない。
ただし、専有部分の復旧は、各区分所有者が単独で行うことができる。

議事録への賛否の記録

大規模滅失の復旧の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。(61条6項)

大規模滅失の復旧決議が成立した場合の買取請求権

買取指定者の指定が行われない場合

大規模滅失の復旧の決議があった場合、その決議の日から2週間経過したときは、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利時価で買い取るべきことを請求することができる。(61条7項前段)

なお、買取請求権が一部の決議賛成者に行使された場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2か月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した共用部分の持分割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。(61条7項後段)

→この請求を「再買取請求」という

買取指定者の指定がされた場合

大規模滅失の復旧の決議の日から2週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(買取指定者)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ買取請求をすることができる。(61条8項)

なお、買取指定者は、この書面による通知に代えて、通知を受けるべき区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により買取指定者の指定がされた旨を通知することができる。(61条9項)

なお、買取指定者が買取請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、買取指定者以外の決議賛成者は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済をしなければならない。(61条10項本文)

ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この弁済を免れる。(61条10項ただし書)

買取請求権の行使についての催告

大規模滅失の復旧の決議に係る集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、4か月以上期間を定めて、買取請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。(61条11項)

なお、この書面による通知に代えて、通知を受けるべき区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により買取請求をするか否かを確答すべき旨を催告することができる(61条12項)

そして、催告を受けた区分所有者は、定められた期間を経過したときは、買取請求をすることができない。(61条13項)

→この結果、その者は区分所有者であり続けることになり、共用部分の持分割合に応じて復旧の費用を負担することになる。

復旧・建替え決議がない場合の買取請求権

大規模滅失の場合において、建物の一部が滅失した日から6ヶ月以内復旧決議も建替え決議もないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。(61条14項)

なお、①共用部分を復旧した者が、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を共用部分の持分割合に応じて償還すべきことを請求した場合、②買取指定者の指定が行われないときに買取請求があった場合、③買取指定者に買取請求があった場合及び④復旧・建替え決議がないときに買取請求があった場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取指定者又は買取指定者の債務不履行により連帯して債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限許与することができる。(61条15項)

(参考)
らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト 2023年度(TAC出版)

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