民法を学ぼう「代理権消滅後の表見代理」

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六法全書 司法・法務

第3の表見代理は、民法112条の「代理権消滅後の表見代理」である。

「代理権の消滅原因」そのものは、民法111条に定められている。

ここで、重要なのは、「委任の終了による代理権消滅」である。

例えば、AがBを代理人として、自己の所有する甲土地を売却する代理権を与える委任契約を締結したとする。その後、この委任契約が解除されたとしょう。これによって、Bの代理権は消滅している。(111条2項)

にもかかわらず、Bが、Aの名を顕名して、甲土地を売却する契約をCと締結すれば、無権代理行為となる。

この場合、相手方(C)が、Bの代理権の消滅を知らなかったときは、本人は責任を負い、代理権があった場合と同様の効力を受けるものとされる。(112条1項本文)

ただし、相手方が、代理権の消滅を知らなかったことについて、過失があったときは、表見代理は成立しない。(同項ただし書き)

(代理権の消滅事由)
第百十一条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

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参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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