民法を学ぼう(法律行為総説)

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司法・法務

今回は、法律行為とその前提となる意思表示の概念をみてみよう。

意思表示とは

意思表示とは、一定の法律関係を作り出す意思外部に表示すること。そして、法律関係とは、権利を有し義務を負う関係のこと。民法では、権利や義務からなる関係として世界が構成される。

例えば、AからBに「このノートパソコンを15万円で売りたい。」と持ち掛けて、Bが、「いいですよ。15万円で買いましょう。」と応じると売買契約が成立する。(555条)

(売買)

第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

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このように、売買契約は、Aによる申し込みの意思表示とBによる承諾の意思表示という向かい合った二つの意思表示合致する必要がある。そして、Aにはノートパソコンの引渡義務とBには代金支払義務が発生する.。そこで、この売買契約を法律行為という。

法律行為とは

法律行為とは、このように、権利義務の発生や消滅などの効果を生じさせるもののうち、意思表示を構成要件とするものである。

法律行為には、二つの意思表示の合致によって成立する契約のほかに、遺言のように一つの意思表示だけで法律効果を生じるものがある。これを単独行為という。

(遺言の方式)

第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

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単独行為の種類

単独行為には二つの種類がある。単独行為は意思表示が一方向なので、先方の承諾は必要ない。しかし、表意者の意思表示が届いて効力が生じるものと、意思表示を発した時に効力が生じるものある。

相手方のある単独行為

法定代理人の同意、取消し、解除、追認及び追認の拒絶、債務免除、相殺

(取消し及び追認の方法)

第百二十三条 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。

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相手方のない単独行為

地上権の放棄、占有の放棄、相続の放棄、遺言

(地上権の存続期間)

第二百六十八条 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。

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なお、「相続の放棄」は、家庭裁判所への申述が必要

(相続の放棄の方式)

第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

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参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、司法書士 合格ゾーンテキスト 1 民法I  「第3版」根本正次著 (東京リーガルマインド)

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