民法を学ぼう「無権代理行為の一般的効果①」

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司法・法務

無権代理とは
代理権がないにもかかわらず、代理行為が行われることをいう。
代理権がないとは、まったく代理権を持たない者が代理行為をする場合のほか、代理人が自己の持つ代理権の範囲を超えた代理行為をする場合を含む。
どちらの場合も、無権代理行為を行った者は、無権代理人と呼ばれる。

無権代理行為の効果
無権代理行為の効果は、本人に生じることがないのが原則となる。
さらに、無権代理行為の効果を無権代理人に帰属させることも、原則としてできない。
無権代理人は、本人に効果が帰属することを示して(顕名して)、行為をしており、無権代理人自身に効果を引き受ける意思がないのみならず、相手方としても、無権代理人を取引相手とする意思がない。

そこで、無権代理行為の効果が誰にも帰属しない状態を解消するための方法が定められている。

本人による無権代理行為の追認
本人が無権代理行為の効果を自己に帰属させる意思表示をいう。(民法113条1項)
追認は、本人だけの意思表示で成立する単独行為である。

無権代理行為が追認されると、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。すなわち、最初から有効な代理権をもって行われたものとみなされるのが原則である。(民法116条本文)追認の遡及効

ただし、本人と相手方の「別段の意思表示」により、遡及効は否定できる。(民法116条本文)

(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

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遡及する場合でも「第三者の権利を害することはできない」(民法116条ただし書き)
もっとも、債権の存否について優劣の問題は生じないし、物権については原則として、対抗要件を先に備えたものが優先する。よって、このただし書き適用の余地はほとんどない。

相手方による催告権
ただし、本人が追認しないでいる間、相手方は不安定な状態に置かれることになる。
そこで、相手方は、本人に対して、追認するかどうかを答えるように催告する権利が認められている。(民法114条前段)

本人が追認すると回答すれば、追認の効果は発生し、追認しない(追認拒絶)と回答すれば、追認の効果は発生しないことは当然である。

ここで問題になるのは、本人が回答しなかった場合である。民法は、相手方が本人のために定めて回答のための期間が「相当な期間」であることを要件に、本人の回答がなければ、追認を拒絶したものとみなされる。(民法114条後段)
したがって、無権代理行為の効果は本人に帰属しないことで確定する。

相手方の取消権
相手方は、こうした催告を行うことなく、無権代理行為に基づく契約を取り消すこともできる。(民法115条本文)

もっとも、相手方の取消権には制約がある。
・本人が追認をした後には、相手方は契約を取り消すことができない。
・契約の時に代理権を有しないことにつき、相手方が悪意であった場合には取消権を行使できない。(民法115条ただし書き)

参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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