民法を学ぼう「取得時効③」

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司法・法務

前回までに、「取得時効」の要件をみてきた。

今回は、「取得時効」の効果をみてみることにする。

効果

原始取得

取得時効による権利の取得は、「原始取得」と呼ばれる。売買などの取引行為で前主から権利を承継する「承継取得」と対比される。
取得時効によって、新たな権利が発生すると考えられている。
そして、ある者が、取得時効によって、例えば、土地の所有権を取得すると、元の所有者は所有権を失うことになる。(一つの物には所有権が一つしか成立することができない。(一物一権主義))
ただし、時効で取得した所有権であったとしても、第三者に対抗するには、登記が必要となる

起算点

時効の効力は、その起算日にさかのぼる。(民法144条)
これを「時効の遡及効」という。そして、時効の基礎となる事実の開始時点を「起算点」という。

(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
民法・e-Gov法令検索

なお、取得時効を援用する者が起算点を自由に決めることはできない。

所有権の取得時効が完成して、これを援用する場合は、占有者は起算点である占有開始時に原始取得したものとされる。これは、占有開始時から時効を援用するまでの間が不法占有にならないためである。

参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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