医薬品の適正使用情報
安全性情報など、その他の情報
医薬品の製造販売業者等は、医薬品の有効性及び安全性に関する事項その他医薬品の適正な使用のために必要な情報を収集し、検討するとともに、薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者及びそこに従事する薬剤師や登録販売者に対して、提供するよう努めなければならないこととされている。
緊急安全性情報
医薬品、医療機器又は再生医療等製品について緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策が必要な状況にある場合に、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成される。
情報伝達の方法(1ヶ月以内に下記により情報伝達される)
- 製造販売業者及び行政当局による報道発表
- (独)医薬品医療機器総合機構による医薬品医療機器情報配信サービスによる配信(PMDAメディナビ)
- 製造販売業者から医療機関や薬局等への直接配布、ダイレクトメール、ファックス、電子メール等
特徴
- A4サイズの黄色地の印刷物で、イエローレターとも呼ばれる。
- 小柴胡湯による間質性肺炎に関する緊急安全性情報(平成8年3月)のように、一般用医薬品にも関係する緊急安全性情報が発出されたこともある。
安全性速報
医薬品、医療機器又は再生医療等製品について一般的な使用上の注意の改訂情報よりも迅速な注意喚起や適正使用のための対応の注意喚起が必要な状況にある場合に、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成される。
情報伝達の方法(1ヶ月以内に下記により情報伝達される)
- 総合機構による医薬品医療機器情報配信サービスによる配信(PMDA メディナビ)
- 製造販売業者から医療機関や薬局等への直接の配布、ダイレクトメール、ファクシミリ、電子メール等
特徴
- A4サイズの青色地の印刷物で、ブルーレターとも呼ばれる。
医薬品・医療機器等安全性情報
厚生労働省においては、医薬品(一般用医薬品を含む)、医療機器等による重要な副作用、不具合等に関する情報をとりまとめ、「医薬品・医療機器等安全性情報」として、広く医薬関係者向けに情報提供を行っている。
掲載内容
- 医薬品の安全性に関する解説記事
- 使用上の注意の改訂内容
- 主な対象品目
- 参考文献(重要な副作用等に関する改訂については、その根拠となった症例の概要も紹介)
総合機構ホームページ
総合機構のホームページでは、以下のような情報が掲載されている。
- 添付文書情報
- 医薬品・医療機器等安全性情報
- 厚生労働省が製造販売業者等に指示した緊急安全性情報、「使用上の注意」の改訂情報
- 製造販売業者等や医療機関等から報告された、医薬品による副作用が疑われる症例情報
- 医薬品の承認情報
- 医薬品等の製品回収に関する情報
- 一般用医薬品・要指導医薬品の添付文書情報
- 患者向医薬品ガイド
- その他、厚生労働省が医薬品等の安全性について発表した資料
総合機構では、医薬品・医療機器の安全性に関する特に重要な情報が発出されたときに、ホームページに掲載するとともに、その情報を電子メールによりタイムリーに配信する医薬品医療機器情報配信サービス(PMDA メディナビ)を行っている。
このサービスは誰でも利用可能であり、最新の情報を入手することができる。
購入者等に対する情報提供への活用
薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者及び医薬品の販売に従事する薬剤師や登録販売者においては、医薬品の適正な使用を確保するため、相互の密接な連携の下に、製造販売業者等から提供される情報の活用その他必要な情報の収集、検討及び利用を行うことに努めなければならないとされている(法第68の2の5第3項)。
添付文書情報の活用
医療用医薬品の添付文書
- 令和3年8月1日から、医療用医薬品への紙の添付文書の同梱を廃止し、注意事項等情報は電子的な方法により提供されることとなった。
- 具体的には医薬品の容器又被包に当該情報を入手するために必要な符号(バーコード又は二次元コード)を記載することが求められている。
- この符号をスマートフォン等のアプリケーションで読み取ることで、総合機構のホームページで公表されている最新の添付文書等の情報にアクセスすることが可能である。
一般用医薬品の添付文書
- 一般用医薬品等の消費者が直接購入する製品は、使用時に添付文書情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、引き続き紙の添付文書の同梱される。
別表
主な使用上の注意の記載とその対象成分・薬効群等
「してはいけないこと」
「次の人は使用(服用)しないこと」
※ポイントを抜粋して掲載する。
アレルギーの既往歴
主な成分・薬効群等 | 理由 | |
---|---|---|
「本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある 人」 | インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン又はピロキシカムが配合された外用鎮痛消炎薬 | アレルギー症状の既往歴のある人が再度使用した場合、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症(ライエル症候群)等の重篤なアレルギー性の副作用を生じる危険性が高まるため。 |
「喘息を起こしたことがある人」 | 喘息発作を誘発するおそれがあるため。 | |
「本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を使用(服用)して喘 息を起こしたことがある人」 | アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等の解熱鎮痛成分 | アスピリン喘息を誘発するおそれがあるため。 |
「本剤又は本剤の成分、牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人」 | タンニン酸アルブミンなど |
症状・状態
「次の症状がある人」 | 主な成分・薬効群等 | 理由 |
---|---|---|
胃酸過多 | カフェインなど | カフェインが胃液の分泌を亢 進し、症状を悪化させるおそれがあるため。 |
前立腺肥大による排尿困難 | プソイドエフェドリン塩酸塩 | 交感神経刺激作用により、尿の貯留・尿閉を生じるおそれがあるため。 |
基礎疾患等
「次の診断を受けた人」 | 主な成分・薬効群等 | 理由 |
---|---|---|
心臓病 | プソイドエフェドリン塩酸塩 | |
胃潰瘍 | カフェインなど | 胃液の分泌が亢進し、胃潰瘍の症状を悪化させるおそれがあるため。 |
高血圧 | プソイドエフェドリン塩酸塩 | |
甲状腺機能障害 | ||
糖尿病 | ||
その他 | 主な成分・薬効群等 | 理由 |
「透析療法を受けている人」 | スクラルファート、他、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ等のアルミニウムを含む成分が配合された胃腸薬、胃腸鎮痛鎮痙薬 | 長期間服用した場合に、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を発症したとの報告があるため。 |
小児における年齢制限
主な成分・薬効群等 | 理 由 | |
---|---|---|
「15歳未満の小児」 | アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリンなど | 外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため。 |
プロメタジン塩酸塩等のプロメタジンを含む成分 | 外国において、乳児突然死症候群、乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制が現れたとの報告があるため。 | |
「6歳未満の小児」 | アミノ安息香酸エチル | メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため。 |
「3歳未満の小児」 | ヒマシ油類 |
妊婦、授乳婦等
主な成分・薬効群等 | 理 由 | |
---|---|---|
「妊婦又は妊娠していると思われる人」 | ヒマシ油類 | 腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため |
ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬) | ||
エチニルエストラジオール、エストラジオール | 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって、胎児の先天性異常の発生が報告されているため。 | |
オキセサゼイン | 妊娠中における安全性は確立されていないため。 | |
「出産予定日12週以内の妊婦」 | アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェン | 分娩時出血の増加のおそれがあるため。 |
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」 | ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩等のジフェンヒドラミンを含む成分が配合された内服薬、点鼻薬、坐薬、注入軟膏 | 乳児に昏睡を起こすおそれがあるため。 |
ロートエキスが配合された内服薬、外用痔疾用薬(坐薬、注入軟膏) | 乳児に頻脈を起こすおそれがあるため。(なお、授乳婦の乳汁分泌が抑制される ことがある。) | |
センノシド、センナ、ダイオウ又はカサントラノールが配合された内服薬、ヒマシ油類 | 乳児に下痢を起こすおそれがあるため。 | |
コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | コデインで、母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるため。 |
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」
薬 効 群 | 主 な 成 分 等 | 懸念される症状 |
---|---|---|
かぜ薬、鎮咳去痰薬 | コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | 眠気等 |
解熱鎮痛薬、催眠鎮静薬 | ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素 | |
止瀉薬 | ロペラミド塩酸塩、ロートエキス | |
胃腸鎮痛鎮痙薬、乗物酔い防止薬 | スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物 | 眠気、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため。 |
胃腸薬 | ピレンゼピン塩酸塩水和物 | 目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため。 |
連用に関する注意
薬 効 群 | 主 な 成 分 等 | 理 由 |
---|---|---|
短期間の服用に限られる漢方生薬製剤「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」 | グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、カンゾウ等のグリチルリチン 酸を含む成分(1日用量がグリチルリチン酸として 40mg 以上、又はカンゾウとして1g以上を含有する場合 | 偽アルドステロン症を生じるおそれがあるため。 |
外用痔疾用薬(坐薬、注入軟膏) 「長期連用しないこと」 | ||
漢方生薬製剤以外の鎮咳去痰 薬、瀉下剤、婦人薬 「長期連用しないこと」 | ||
胃腸薬、胃腸鎮痛鎮痙薬 「長期連用しないこと」 | ||
同上 | スクラルファート、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ等のアルミニウムを含む成分が配合された胃腸薬、胃腸鎮痛鎮 痙薬 | 長期連用により、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため。 |
外用痔疾用薬、化膿性皮膚疾患用薬、鎮痒消炎薬、しもやけ・あかぎれ用薬 「長期連用しないこと」 | ステロイド性抗炎症成分 (コルチゾン換算で1g又は1mL あたり 0.025mg 以上を含有する場合。ただし、坐薬及び注入軟膏では、含量によらず記載) | 副腎皮質の機能低下を生じるおそれがあるため。 |
止瀉薬 「1週間以上継続して服用しないこと」 | 次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分 | 海外において、長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告があるため。 |
(参考)
- 改訂版 この1冊で合格! 石川達也の登録販売者 テキスト&問題集 (KADOKAWA)
- 登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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