【基本情報技術者試験対策】テクノロジ系の計算問題対策(3)「確率の乗法定理と加法定理」

スポンサーリンク
IT系

はじめに

今回は基礎理論の分野から、確率の「乗法定理」と「加法定理」を取り上げる。基本情報技術者試験では、システムの故障率やデータの発生確率などを題材に、確率の基本法則を問う問題が頻出する。難しい公式ではないが、「独立」「排反」といった前提条件の違いを見落とすと誤答につながりやすいため、丁寧に整理していこう。

乗法定理(2つの事象が同時に起こる確率)

乗法定理は、2つの事象がどちらも起こる確率を求める際に使う法則である。

独立事象の場合

事象Aと事象Bが互いに独立している(一方の結果がもう一方に影響を与えない)場合、AとBが両方起こる確率は、それぞれの確率の積で求められる。

P(A かつ B) = P(A) × P(B)
例題 
サイコロを1回振って偶数の目が出る確率と、コインを1回投げて表が出る確率をそれぞれ求め、両方とも成功する確率を求めよ。
  • サイコロで偶数の目が出る確率:P(A) = 3/6 = 1/2
  • コインで表が出る確率:P(B) = 1/2

サイコロとコインの結果は互いに影響しないため独立事象であり、次のように計算する。

P(A かつ B) = 1/2 × 1/2 = 1/4

したがって、両方とも成功する確率は1/4となる。

従属事象の場合

一方の事象が起こることで、もう一方の確率が変化する場合(従属事象)は、条件付き確率を用いる。

P(A かつ B) = P(A) × P(B|A)

ここで P(B|A) は「Aが起こったという条件のもとでのBの確率」を表す。

例題 
袋の中に赤玉3個、白玉2個が入っている。玉を1個取り出し、それを戻さずにもう1個取り出すとき、1個目が赤玉、2個目も赤玉である確率を求めよ。
  • 1個目が赤玉である確率:P(A) = 3/5
  • 1個目を戻さないため、袋の中には赤玉2個、白玉2個の合計4個が残る。2個目が赤玉である確率:P(B|A) = 2/4 = 1/2
P(A かつ B) = 3/5 × 1/2 = 3/10

したがって、確率は3/10となる。試験では「戻す(復元抽出)」か「戻さない(非復元抽出)」かで確率が変わる点が問われやすいため、問題文の条件を必ず確認する必要がある。

加法定理(いずれかの事象が起こる確率)

加法定理は、事象Aまたは事象Bが起こる確率を求める際に使う法則である。事象同士の関係が「排反」か「排反でない」かによって式が異なる。

排反事象の場合

事象Aと事象Bが同時には起こりえない(排反)場合、AまたはBが起こる確率は、それぞれの確率の和で求められる。

P(A または B) = P(A) + P(B)
例題 
サイコロを1回振って、1の目が出る確率と6の目が出る確率をそれぞれ求め、1または6の目が出る確率を求めよ。
  • 1の目が出る確率:P(A) = 1/6
  • 6の目が出る確率:P(B) = 1/6

1の目と6の目は同時に出ることはないため排反事象であり、次のように計算する。

P(A または B) = 1/6 + 1/6 = 2/6 = 1/3

排反でない事象の場合

事象Aと事象Bが同時に起こりうる場合は、単純に足し合わせると重複部分を二重に数えてしまう。そのため、重複部分(AかつBが起こる確率)を差し引く必要がある。

P(A または B) = P(A) + P(B) - P(A かつ B)
例題 
1から20までの数字が1つずつ書かれたカードから1枚引くとき、「3の倍数」または「偶数」が出る確率を求めよ。
  • 3の倍数(3, 6, 9, 12, 15, 18):6枚 → P(A) = 6/20
  • 偶数(2, 4, 6, …, 20):10枚 → P(B) = 10/20
  • 3の倍数かつ偶数(6の倍数:6, 12, 18):3枚 → P(A かつ B) = 3/20
P(A または B) = 6/20 + 10/20 - 3/20 = 13/20

したがって、確率は13/20となる。3の倍数と偶数は同時に成立するカード(6の倍数)が存在するため排反ではなく、重複分を引く必要がある点がポイントである。

判断の分かれ目:独立・従属・排反・排反でない

確率の問題を解く際にまず確認すべきは、次の2つがポイントである。

  1. 乗法定理を使う場面か、加法定理を使う場面か
    • 「AとBの両方」→ 乗法定理(かつ)
    • 「AまたはB」→ 加法定理(または)
  2. 事象同士の関係はどうか
    • 乗法定理:独立か従属か(条件付き確率が必要か)
    • 加法定理:排反か排反でないか(重複を引く必要があるか)

この2段階の判断を先に行ってから式を立てると、迷いなく計算に入ることができる。

おわりに

確率の乗法定理・加法定理は、公式自体は単純であるものの、事象の関係性(独立・従属・排反・排反でない)を見誤ると誤答につながりやすい分野である。
問題文を読んだ際に、まず事象同士の関係を整理する習慣をつけておくとよい。次回は「期待値」を取り上げる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました