民法を学ぼう!「所有権(14)所有権の取得(6) 添付(付合・混和・加工)(3)」

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司法・法務

付合(3)

土地の付合

Aの土地にBが無断(無権原)でカボチャの種をまいたり、稲を植えたりしたとしよう。これらは土地に付合し、土地の構成部分となる。すなわち、Aがこれらの所有権を取得する。

それでは、Aの土地に賃借人Bが同様のことを行った場合はどうか。カボチャの種のように、付合して完全に独立性を失う場合(強い付合)、不動産の構成部分になる。Bはカボチャの種の所有権を失い、Aがこれを所有する。他方、稲のように、付合しても独立性を失わない場合(弱い付合)、不動産の構成部分にならない。Bは稲を所有できる(242条ただし書)。Bのまいたカボチャの種が生育し、強い付合から弱い付合へと変化した場合、Bの所有となるとする見解もあるが、正当化は難しい。

なお、Bが無権原で稲を植えたときについては争いがあった。かつて、小作人を保護するため、弱い付合の場合には、Bが無権原でも農作物を所有できるとする見解もあった。しかし、現在、このように考える必要性は乏しいとの批判がなされ、支持されていない。

(不動産の付合)
第二百四十二条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
(民法・e-GOV法令検索)

建物の付合

建物の付合で、判例によくあらわれる事例は、賃借人による建物の増改築である。Aの建物を賃借したBが、建物を増改築し、建物に動産を付合させた場合、増改築部分の所有者はAかBか。

BがAに無許可で増改築をしたとする。賃借権は建物を利用する権利を内容とし、増改築する権利を含まない。Bは242条ただし書の権原を有しておらず、増改築部分の所有権を取得できない。

BがAの許可を得て建物を増改築した場合はどうか。権原によって物を付属させたとして、増改築部分の所有権を取得できるようにみえる。しかし、増改築部分は分離できず独立性を有していない以上、原則として、所有権を認めることはできない。

いずれの場合も、増改築部分はAの所有となり、BはAに対して償金を請求 できる (248条)。
なお、AはBに対して、増改築部分の撤去を請求できない。増改築部分は、A自身の所有物となっているからである。

動産の付合

Aの船舶にBの船舶用エンジンが溶接された場合、基本的にAがエンジン付船舶の所有権を取得する。複数の動産が付合することにより、損傷しなければ分離できなくなったとき、また、分離に過分の費用がかかるとき、主たる動産の所有者が合成物の所有権を取得するからである (243条)。 所有権を失ったBは、Aに対し、償金を請求できる(248条)。

動産の主従はどのように判断すべきか。付合の趣旨を社会経済的価値の損失防止に求めるのであれば、社会経済上の主従で判断することになる。他方、付合を取引の安全に求めるのであれば、取引通念に従って判断され、価格が大きな考慮要素となる。船舶と船舶用エンジンの場合であれば、通例、船舶のほうが主たる動産である。しかし、Aの船舶よりもBの船舶用エンジンのほうが著しく高価である場合、取引の安全を重視する見解によれば、Bが所有権を取得することになろう。

主従の区別ができないとき、各動産の所有者は、付合した時の価格割合に応じてその合成物を共有する(244条)。

(動産の付合)
第二百四十三条 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする。

第二百四十四条 付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する。

(付合、混和又は加工に伴う償金の請求)
第二百四十八条 第二百四十二条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第七百三条及び第七百四条の規定に従い、その償金を請求することができる。
(民法・e-GOV法令検索)

(参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社


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