知財検定2級まとめノート18「意匠法の保護対象と登録要件(1)」

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デザイン 知財検定

本稿では、「知的財産管理技能検定」を「知財検定」と称する。

本稿は、「知財検定2級」の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。

意匠法の目的

意匠保護及び利用を図ることにより、意匠の創作奨励し、もつて産業の発達寄与することを目的とする。(意匠法1条)

特許庁に登録されているデザインを他人に無断で使用させないことで、多くの人が安心して新しいデザインを創作できるようにする。また、新しいデザインの公開を通じて、それを元にした新たなデザイン開発が行われることも期待される。

意匠とは

(定義等)
第2条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
(略)

意匠法・e-Gov法令検索

物品等と認められるものであること

意匠法の保護対象となる物品

「物品」とは、市場で流通する形のある動産有体物)で、土地及びその定着物不動産以外のものを指す。

電気、光、熱等の無体物や有体物であっても気体、液体等固有の形状等を有していないものは含まれない。

ただし、完成品の中の一部を構成する部品は独立して取引の対象になるため、物品となる。

意匠法の保護対象となる建築物

土地の定着物であること、②人口構造物であること、いずれの要件も満たす必要がある。
例として、住宅、工場、競技場などがある。

意匠法の保護対象となる画像

①「画像意匠(物品から離れた画像自体)」として保護を受ける、②「物品等の部分に画像を含む意匠」として保護を受ける、の2つの方法がある。

画像意匠として認められるためには、①操作画像、②表示画像のいずれかである必要がある。

物品等自体の形状等であること

意匠は、物品等自体の形状等であることが必要である。「物品等自体の形状等」とは、物品等そのものが有する特徴または性質から生じる形状等をいう。

ただし、販売を目的とした形状等についても、その形状等を維持することが可能なものについては、物品等自体の形状等として認められる。

視認性

意匠は、物品等自体の形状等であるので、視覚を通じて認識できるものである必要がある。

美感性

意匠は、その形状等が視覚を通じて美感を起こさせるものでなければならない。
ただし、美術品のような高尚な美感である必要はない。

デザインを保護対象とするその他の制度

不正競争防止法

事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。(不正競争防止法1条)

不正競争防止法には、一定の行為が不正競争行為として列挙されている。

デザインに関する禁止事項は、

  • 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不正競争防止法2条1号)
  • 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同2号)
  • 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為(同3号)

が挙げられる。

著作権法

著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。(著作権法1条)

すなわち、漫画などは著作権法により保護を受けられるが、意匠法が保護対象とする工業的なデザインは原則として、保護を受けられない。

ただし、いわゆる応用美術量産可能な博多人形)のように、本来は意匠法の保護対象でありながら、美的鑑賞の対象となるため、著作権法の保護もあわせて受けられる場合もある。

(参考)
・「知的財産管理技能検定2級公式テキスト(改訂13版)」 知的財産教育協会 (編集) アップロード
・「知的財産管理技能検定2級完全マスター[改訂7版]2意匠法・商標法・条約」 アップロード知財教育総合研究所 (編集) アップロード

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