マンション管理士まとめノート(8)「区分所有法:義務違反者に対する措置」

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マンション管理 マンション管理士

本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

本稿は、「マンション管理士試験」の出題範囲のうち、区分所有法の頻出論点をまとめたものである。

区分所有者の権利・義務等

(区分所有者の権利義務等)
第6条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
(区分所有法)

義務違反者に対する措置

区分所有者及び占有者に対する共同の利益に反する行為の停止等の請求

(1)請求の内容

種類具体例
行為の停止請求義務違反行為をやめるよう求める
行為の結果の除去共用部分を不当に使用している場合、撤去させる等
行為を予防するため必要な措置をとること騒音を発生させる恐れがある場合、防音措置を講ずるよう求めること等

(2)請求に必要な手続き

訴訟上・訴訟外いずれでも請求可
訴訟する場合、集会の普通決議が必要。

(3)弁明の機会の付与の要否

訴訟上・訴訟外いずれでも弁明の機会の付与は不要

(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第57条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
4 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。
(区分所有法)

区分所有者に対する使用禁止の請求

(1)請求の内容

区分所有者が共同利益に反する行為をした、または、する恐れがある場合、行為の停止等の請求では、区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難なときは、他の区分所有者の全員または管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、相当の期間、その区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求できる。

この場合、専有部分のみならず、共用部分や附属施設、敷地の使用も禁止される。
また、義務違反者の家族による使用も同様である。
ただし、「収益(第三者への売却)」や「処分(売却)」は認められる
なお、管理費や修繕積立金の支払義務は継続する。

(2)請求に必要な手続き

訴訟上でのみ請求可。
あらかじめ弁明の機会を与えた上で、集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各$\dfrac{3}{4}$以上)が必要。

(使用禁止の請求)
第58条 前条第一項に規定する場合において、第6条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数でする。
3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
4 前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。
(区分所有法)

区分所有者に対する区分所有権の競売の請求

(1)請求の内容

区分所有者が共同利益に反する行為をした、または、する恐れがある場合、他の方法では、区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難なときは、他の区分所有者の全員または管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、その区分所有者の区分所有権及び敷地利用権競売を請求できる。

区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費を回収できる見込みがない場合でも請求できる。

(2)請求に必要な手続き

訴訟上でのみ請求可。
あらかじめ弁明の機会を与えた上で、集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各$\dfrac{3}{4}$以上)が必要。

(3)競売申立ての期限

その判決が確定した日から6ヶ月を経過したときは、することができない。

(区分所有権の競売の請求)
第59条 第57条第一項に規定する場合において、第6条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
2 第57条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
3 第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6ヶ月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。
(区分所有法)

占有者に対する引渡し請求

(1)請求の内容

占有者が共同利益に反する行為をした、または、する恐れがある場合、他の方法では、区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難なときは、他の区分所有者の全員または管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、
①その占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除
及び
②その専有部分の引渡し
を請求することができる。

(2)被告とすべき者

被告は、解除の対象となる契約の両当事者である。

解除の対象は、「共同利益違反行為に係る占有者が占有する専有部分の使用・収益を目的とする契約」である。

(3)請求に必要な手続き

訴訟上でのみ請求可
あらかじめ弁明の機会を与えた上で、集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各$\dfrac{3}{4}$以上)が必要。

弁明の機会は、占有者にのみ与えればよく、部屋を貸した区分所有者に対して与える必要はない

(4)引渡しの相手方

判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。

(占有者に対する引渡し請求)
第60条 第57条第四項に規定する場合において、第6条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
2 第57条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第58条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
3 第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。
(区分所有法)

参考
らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト 2024年度(TAC出版)

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